デジタル市場レポート2019年8月版

Column 2019

2019/8/28

2019年7月国内Apple App Store
ビジネスカテゴリダウンロード数ランキング

近年、スマートフォンの普及と高性能化、さらにWi-Fi通信利用エリアの拡大から、ビジネス領域においても、ビジネス・チャットアプリとTV会議アプリのダウンロード数が増加しています。

 本年7月、Apple App Storeビジネスカテゴリのダウンロード数ランキングトップ10においては、3アプリがビデオ会議とビジネス・チャット関連のアプリとなっています。具体的には、第3位はビデオ会議の「ZOOM Cloud Meetings」。第4位はビジネスチャットアプリの「Microsoft Team」。第7位には同ビジネスチャットアプリの「Slack」となっています。また、仕事効率化カテゴリー内になっていますが、ビジネスチャットアプリ「Chatwork」も月間約3万のダウンロード数を維持しています。 


Figure 1: 国内Apple App Store ビジネスカテゴリダウンロード数ランキング

(Source : Priori Data, Apple App Store, July 2019, Japan)

これらのアプリのダウンロード数を、過去からのトレンドで見てみると、2018年に入ってから全てのアプリのダウンロード数が急増しているのが分かります。
過去のアプリストアのビジネスカテゴリーでは、就職・転職やユーティリティー系のアプリが上位にランクされていましたが、今後はこのような、ビジネスに役立つ新しいタイプのアプリの利用が増加すると思われます。



Figure 2: 

(Source : Priori Data, Apple App Store, January 2019, Japan)

米国動画アプリ利用状況

国内TV・動画視聴に関し、地上デジタルやケーブル、BS、CS放送に加えて、スマートフォンアプリを介して、オリジナルコンテンツのある動画サービスを利用するユーザーが増加しています。では米国ではどうなのか?今回は米国Apple App Storeでの主要動画アプリの最新情報をレポートします。

 まず米国動画アプリのApple App Storeでの売上金額ランキングでは「Netflix」が圧倒的で、第2位の「Hulu」の2倍以上の売り上げを上げています。米国で特徴的なのは、本年2月よりサービスを開始した「YouTube TV」が挙げられます。これは、ケーブルテレビで放送されているあらゆる番組を、スマホやタブレットなどで視聴可能にするサービスです。これにより、インターネットさえあれば、どこからでもテレビを見ることができることになります。「YouTube TV」はすでに売上ランキングでも第4位にランクインしています。


Figure 3:  米国Apple App Store  動画アプリ売上金額トップ10
(Source : Priori Data, Apple App Store, July 2019, US)

次にこれらのアプリのMAU(月間アクティブユーザー)数を比較した場合、やはり「Netflix」がトップで、着実にユーザー数を増加させています。これに「Hulu」が続く構図となっています。また動画のタイプは全く違いますが、米国においても「TikTok」の人気は高く、2019年7月には「Netflix」に次ぐMAUを記録しています。


FIGURE4: 

しかしながら、売上金額を過去からのトレンドで見た場合、「Netflex」のピークはすでに過ぎており、本年に入ってからは、大幅に売上を減少させています。反面、他のサービスが急激に売上を上げているものはなく、この米国市場はかなり成熟したものになっており、サービス間の競争が激しくなっていることが推測されます。


Figure 5 :

(Source : Priori Data, Apple App Store, January 1, 2017 – July 31, 2019, US)

コムスコア「OTT Intelligence」データによる
米国OTTの現状:前編

現在米国では、TV・ビデオ視聴に関して、OTTのサービスが急速に進んでいます。今回はコムスコアの「OTT Intelligence」のデータを活用し、2回に分けて米国におけるOTTの現状をレポートしていきます。前編は、OTTの基盤となる米国でのデジタル端末の普及状況、Wi-Fi使用量、OTT利用世帯数、利用率、利用時間などをレポートします。

 OTTとは、Over-The-Topの略語で、インターネット上で提供されるWebサイト、動画や音声などのコンテンツやサービス、あるいはそれらを提供する事業者を指す言葉で、そうした事業者の中でも、通信事業者やインターネットサービスプロバイダとは関わりのない企業が「OTT」と呼ばれます。その代表格は、動画配信サービス「YouTube」で、さらに最近は、より「テレビ」寄りのコンテンツを大容量で配信する「Netflix」が日本にも上陸して注目を集めています。

 まず米国で利用しているデジタル機器の利用率では、携帯電話、デスクトップ(PC)など従来のデジタル端末の利用が88%以上となっています。その一方で、スマートTV、ストリーミングステック/ボックス、ゲーム機等、OTT端末の利用率が大きく伸びていることが分かります。


Figure 6 : 
(Source : comscore OTT Intelligence, March 2017, March 2018, March 2019, US)

またデバイス別の米国Wi-Fi利用世帯における総受信Gバイトの推移では、ストリーミングスティックやスマートTVの普及で、家庭で利用されるWi-Fi量が伸び続けています。


Figure 7 : 
(Source : comscore OTT Intelligence, March 2017, March 2018, March 2019, US)

本年3月時点での、米国におけるOTTサービス利用状況は、Wi-Fiを利用している世帯の66%が視聴しており、その世帯数は6,700万。月間の平均利用時間は86時間で、視聴する日数は月間平均17日間にも達し、米国では、OTTによる視聴は、メディア行動の新主流となっています。



Figure 8 : (Source : comscore OTT Intelligence, March 2017- March 2019, US)


OTTサービスを利用する世帯数は継続的に増加しており、特に2018年3月時点での前年同月対比は+17%を記録しています。以降は、+7%から+8%で推移しています。

この米国におけるOTTサービスの急増に拍車をかけているデバイスがスマートTVです。2018年3月から2019年3月までに、OTTサービスを利用する世帯数が+23%と他のデバイスを大きく上回っています。 次回のレポートでは、具体的にどのOTTコンテンツに人気が集まっているのか?OTTサービス利用の増加に伴い「Code Cutter」と言われる従来あったケーブルTV/衛星TVの解約がどこまで進んでいるのか等をレポートします。是非ご期待下さい。


Figure 9 : 
(Source : comscore OTT Intelligence, March 2017, March 2018, March 2019, US)